直木賞『少年と犬』/芥川賞『破局』 2020年上期の文学作品をAudibleで読む

こんにちは、管理人のゆーうつ(@NZMBooKs)です。

2020年はかつてなくAudibleが充実した一年でした。

今年、新たに私のライブラリーに加わった作品は20タイトル、セール時に購入して積ん読状態のタイトルもあるので、全部聞いたわけではないですが、昨年同様に、たくさんのタイトルを聴けました!

Audible全体としても「ONLY FROM audible」というAudibleオリジナル作品が充実。
高品質の録音と多様な声優の起用で、古今東西の文学作品からビジネス書まで多くの作品が出版されました。

今日は2020年の最後に聴いて欲しい作品として、今年の直木賞・芥川賞の両賞の作品をご紹介します!

2020年の直木賞と芥川賞作品が登場

直木賞受賞『少年と犬』〜全ての犬好きに読んでほしい〜

2020年の直木賞は馳星周さんの『少年と犬』でした。

2011年、震災後の仙台から始まる一頭の犬にまつわる連作です。
6つの短編が折り重なりながら、最後の「少年と犬」へと繋がっていきます。

「人という愚かな種のために、神が遣わした贈り物」

この印象的なキャッチコピーにある通り、犬と人間との生活のなかにある機微を捉えた傑作、現状の生活に行き詰まった登場人物に犬が変化と希望をもたらします。

震災後の仙台で窃盗を繰り返すフィリピン国籍のミゲルという男がでてくるのですが、『不夜城』をはじめハードボイルドな小説で知られる馳星周さんの作品らしい「悪」について考えさせられる人物です。

最後に犬は誰と出会うのか?

ぜひ、全ての犬好きと、あるいは犬好きが側にいる人に読んで欲しい作品です。

ナレーターはアニメや吹き替えで活躍する声優の桑原敬一さん。爽やかながら深みのある朗読を聞かせてくれます。

再生時間は8時間57分。

馳星周『少年と犬』

芥川賞受賞『忘却』〜敷かれたレールと、コントロールできない肉体〜

2020年上期の芥川賞は二作品が受賞しました。そのうちでAudibleで作品化されているのが遠野遥さんの「破局」です。

ある一人の就活中の大学生を描いた作品です。

とても強い二面性を持つ小説だと思います。

「公務員」志望の名門大学に通う主人公は、たまに母校で高校ラグビーを教え、政治家志望の意識高い彼女をもち、お笑いサークルに所属する友人を持っています。新入生の女の子と仲良くなり、やがて彼女と別れてその子と付き合いだす…。

と、ストーリーだけを書くと、とても平凡な青春小説に聞こえるかもしれません。
ところが、作品の出だしから、この主人公からとても強い違和感を感じるはずです。

いい人であること、きちんとしていること、向上心を持つこと、安定していること、今の社会で求められているであろう規範を、主人公はとても強く意識しています。人生の目標や他者に対しては無意識に強い規範を求め、時にそれは思考停止ともいえるレベルで起こります。

ところが、ラグビーや恋など肉体に関わる部分においては能動的な衝動をあらわします。

やがてそれが互いに絡み合ってゆき、ある破局をもたらす…のですが、この小説の魅力はこうした構造よりも、文体そのものにあるなと感じます。

サイコパスにも感じられる淡々とした語り口からは、目の前でおこっていることと、自己とが強く解離している印象を受けます。いまだ読んだことのない新鮮な驚きがありました。

読み通してみると、こういう奴いたな…!という謎の納得感があります。

作家は夏目漱石の文体に強い影響を受けたそうです。

再生時間は4時間21分。
ナレーターはベテラン声優の加藤将之さん。作品世界を際立たせる低く乾いた朗読を聞かせてくれます。

遠野遥『破局』

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ねづ店長のワンポイントアドバイス

芥川賞と直木賞作品が年度内にAudibleで作品化されるなんて、素晴らしいね。

今、日本の文学作品は盛り上がっているから、未読の人はこれを機に読んでみるといいかもね。